日本人はどうして木造を好むのか

日本の古くからの伝統的な建築技術「木造住宅」。過去から現在まで、日本では数多くの木造住宅が建てられています。今回は、木造が好まれる理由やデータなどをご紹介します。


木造が好まれる理由

森林浴があるように、人は木の見た目や香り、手触りでリラックスして癒されます。木造住宅は、古くから日本人に馴染みが深く、精神的に落ち着く「木の温もり」を感じられる空間であることがいえます。日本のように四季による温度変化が激しく、雨が多いことや湿度の高い気候では、断熱効果が高く適度に湿度を調整してくれる木造住宅は最適です。

また、木造住宅は、鉄骨構造よりも費用が安価で建てられます。材料費が安く済むことに加え、木材は熱伝導率が低いことから、鉄骨構造よりも断熱性を高める工事が比較的に簡単に済みます。こういった費用面も木造が好まれる理由の一つでしょう。さらに、木造住宅は間取りやデザインの設計に自由度が高いです。長く家に住むことに必要なリフォーム時や増改築時にも自由度が高いことで力を発揮します。これらの木造住宅のメリットなども覚えておくと良いでしょう。

木造住宅ならではの木の香り

木材には「フィトンチッド」といわれる成分が含まれており、リラックス効果があると言われています。フィトンチッドとは、絶えず侵入してくる微生物の活動を抑制し、殺菌力を併せ持つ化学物質のことです。語源は、「フィトン(phyton=植物)チッド(cide=殺す)」からきています。人間には害は無く、人はこのフィトンチッドの香りにより癒されます。フィトンチッドの効果には、交感神経の興奮を抑えて不眠を解消し、快適な睡眠をとることが出来るなど、心身に深いリラックス効果があります。木の香りがする部屋で睡眠をとると、疲れが早くとれるといわれています。木の香りは心に安らぎを与えてくれるでしょう。

日本の森林資源

日本の森林は国土面積の3分の2、森林率は7割。先進国ではトップクラスの森林資源が豊富な国です。日本はこの森林資源のおかげで古くから木造住宅が数多く建てられています。木材として使用されることはもちろんのことですが、現在では紙とダンボールの原材料としても使われています。

森林は、主に人工林と天然林に分けられています。建築用材として使用されるのは人工林の方です。人工林は木材の収穫を目的とした人の手によって育てられた森林です。比較的早く育ちやすいスギ、ヒノキ、カラマツ、アカマツなどの針葉樹林が多く、30年から50年程で収穫の時期を迎えます。近年の日本では、木材は海外からの輸入頼みになっており、日本の自国で作られた木材を消費する木材自給率は20%まで落ち込んだもののここ数年上昇しており、平成27年のデータでは33%まで上がっています。これからの日本は自国の豊富な森林資源を活かして、国産木材での木造住宅が数多く建てられる時代へと変わっていくでしょう。

木造住宅着工戸数の推移

2006

新設住宅着工戸数   木造住宅戸数  非木造住宅戸数   木造率

1,290,391件    559,201件    731,190件    43.3

2016

新設住宅着工戸数   木造住宅戸数  非木造住宅戸数   木造率

 967,237件    546,336件    420,901件    56.5

 

この10年間で新設住宅戸数は大きく減少していますが、木造住宅戸数はほとんど減少していません。そして、木造住宅の割合を示す木造率は10%以上増加しています。

現在は、非木造住宅よりも木造住宅を好まれる方が多いことが分かります。

参照

国土交通省総合政策局情報管理部建設調査統計課資料

www.rinkei.jp/tokei01.pdf

まとめ

いかがでしたか?新築で木造注文住宅を建てることは、人生においてとても大きな決断をすることだと思います。自身の考えや家族の意見を反映し、理想の木造注文住宅を建てることの手助けが出来れば幸いです。