2階建て木造住宅の97%が構造計算されていない!?

日本の2階建て木造住宅の97%以上が構造計算をされていないと言われています。ご存知のない方も多いのではないでしょうか?耐震性の高い木造住宅(SE構法による耐震構法住宅)など特別な構法ではなく、一般的な木造住宅(木造軸組構法)では、2階建ての家のほとんどで構造計算がされていません。これは大丈夫なのか?そんな心配を持たれた方に、今回は、少し専門的な話になりますが、家の構造についてのお話しです。これから家を建てたいとお考えの方にはぜひ知っておいていただきたいものです。


2階建ての木造住宅なら構造計算はしなくてよい?

実は、2階建て以下の木造住宅は、法律上では構造計算が不要とされています。

皆さんも耳にしたことがあるかもしれませんが「建築基準法」という法律があります。建築物について規定した法律で、木造住宅のことだけでなく建物全般に関して、敷地や構造のほか設備や用途などに関する規定が定められています。最低限の基準とされていますので、これは守らなければいけない法律になります。

先にお話ししたように、この「建築基準法」の中で、2階建て以下の木造住宅では構造計算が不要であると規定されているのです。(「4号特例」という規定に該当します。)前提条件としては建築士が設計していることが必要で、これにより構造計算による構造強度の審査が免除されます。

 

構造計算が不要な建物

100㎡以下の特殊建築物もしくは特殊建築物以外(住宅・事務所)の建物

・木造で2階建て以下かつ延べ床面積500㎡以下かつ高さ13m以下かつ軒の高さ9m以下

・木造以外で平屋建て以下かつ延べ床面積200㎡以下

 

このような条件になりますので、一般的な住宅の2階建て以下の木造住宅なら構造計算が不要ということになります。その結果が、日本の97%以上の木造住宅は構造計算がされていないという実態になっているのです。

安全な家づくりのために構造確認は大切

このように建築基準法の規定されている条件に合う場合は、木造住宅を建てる際の申請書に構造計算書の添付が不要になりますが、必ず安全な構造になっているか検討をしていきます。建築士はこの構造の安全性をしっかり踏まえた設計を行います。

 

そもそも構造計算とはどんなことなのか

固定荷重・積載荷重・積雪荷重・風荷重・地震荷重など、家に対してかかる力に対して、建物にどのような影響がでるのかを計算によって明らかにすること、というのが分かりやすい説明でしょうか。建物には様々な力かかかります。 

・人の負荷

人が暮らすので、人が建物にいることによってかかる力や重みがあります。

 ・家具の負荷

生活に必要な設備や家具などを入れるので、それらの重みが加わります。

 ・積雪の負荷

地域によりますが、雪深い地域は屋根に積もる雪も相当な重みを与えます。

 ・台風や地震による不可

台風の強風や地震による揺れも家に大きな負荷を与えます。

 これらの様々な力や重みなどによる負荷を数字で計算し、さらにその負荷によって家に与えられる影響をこれもまた数値によって計算するというもの。これが構造計算になります。

安全な家のための構造チェック

2階建て以下の木造住宅の場合は、構造計算書の提出が不要になりますが、以下に加わる様々な力に対して安全性を担保できるかどうか、家を建てる側にとっては気になるところ。以前、時々マスコミで騒がれていた「耐震基準」という言葉も頭によぎります。 

家族が生活する場所となる家ですから、やはり安全性の高い家であることは最優先となります。構造計算が不要であっても、私達住宅メーカーは家の構造が安全な基準をクリアしているかどうかは必ず検討しています。例えば、壁量が十分に保たれているか、バランスよく壁が配置されているかどうか、柱や梁などの接合部が構造上必要な耐性を持っているかなどをしっかり考えてチェックした上で、ご希望の間取りや住まいをご提案していくのです。また、ご希望によっては耐震性の高いSE構法などによる耐震構法住宅もご提案しています。

家を建てる時、ついつい間取りやデザイン重視で考えてしまいがちですが、まずは構造が大切です。ぜひこれから新築一戸建て住宅を建てたいと考えられている方は、家の構造のことも知っておいていただきたいですね。

まとめ

大きな地震が相次ぐ近年、家の安全性については多くのお客様が気にされることのひとつです。

木造住宅の構造の安全性は家を建てるにあたって重要な検討事項になります。当社では、これから新築一戸建て住宅を建てられるお客様を対象に、期間限定ですが、この構造について分かりやすく書いてある本をプレゼントしています。ぜひご相談にいらしてください。